🍍第2回🍍 たなか さちこさん

自分のやりたいことをとにかくやると決心したら、本当に後悔がない

これまでの人生について1時間ほどかけて振り返ったところで、さちこさんが朗らかにそう言った。10代の頃からずっと、自身でやると決めたことは時間をかけてでも実現してきた彼女らしい言葉だ。

今、おそらく最も長い時間と忍耐を経てから得た”自由”を大いに愉しんでいる。

「失敗したとしても後悔はないなと思っているので、不安がないわけじゃないですけど本当に前向きに動いています」

チャンスを掴み、今あるものの中で柔軟に生きてきた

たなか さちこ さんは生まれも育ちも福岡、40代半ばの年齢になる現在も福岡で過ごしているが、19歳の頃には米国で9ヶ月ほど生活したことがある。
幼少期から海外への憧れが強く、高校卒業後には留学を考えていたものの、危険だという理由で親から米国行きを反対された。他の国ならお金を出すと言われたが、「アメリカじゃないと行きたくないんだと、そこは譲れなかった」と親に頼らず、バイトで貯めたお金で渡米した。

カリフォルニア州サンタバーバラでの生活は、さちこさんにとって居心地が良く、日本より生きやすく感じたと言う。
「日本ではダメだと言われることでも、アメリカでは個性として認めてくれる文化があった」

語学学校に通いながら貯金は底を尽き、親に援助を求めたが断られ、泣く泣く帰国する。
せめて語学を活かす仕事をしようとホテルに就職したものの、実際の業務内容は程遠いもので、すぐにアパレル販売員へ転職した。英会話の講師やエステの資格取得など、その後も並行して色々なことに挑戦した。

そんな”破天荒”な性格は小さい頃からだったと言う。「家族の中では浮いていたと思います」と笑った。
両親と9つ上の姉、そして今はさちこさんの子ども2人が加わって、6人家族での生活。

元夫とは、離れて約1年半が経っている。

元夫との出逢い、そして別れる決意

留学生活も語学を活かした仕事も一度は自分の力で掴み、そして潔く手放してきた。
その一方で長らく望み、それに向けて活動してきたことがあった。「ずっと国際結婚がしたかったんです」

24歳で日系フィリピン人の元夫に出逢い、自ら積極的に関係を築き、そして自らプロポーズをした。
「この人にそっくりな子どもを産みたい!って思ったんですよね」と語る。
良いお父さんになりそうだと感じたし、なによりパートナーは”自分が選ぶ”という意識でタイミングを決めたのだと言う。

最初の子が誕生するまでの8年間、さちこさんは様々な困難に遭遇した。
元夫は、結婚後に勤務先が倒産したことで急に自営業へと転向し、慣れない社長業に忙殺されるうちに妻につらく当たるようになっていった。数年経っても子を授からず不妊治療を始めるが、原因は女性側にあるという姿勢を崩さずに1年以上ものあいだ非協力的だった。元夫側に懸念があることが診断されてもなお信じず、そうこうしているうちにさちこさんは子宮筋腫を患ってしまう。

妊娠出産に影響する可能性を危惧して摘出することを選んだが、結果的には術後にさちこさんも不妊症になった。このときの絶望感から、気持ちが大きく沈んでしまった。

何かしなければ、と一時辞めていた仕事を再開する。子どもが生まれた時を想定した働き方を選んでいたおかげで時間と場所の自由がきいたため、不妊治療の継続は可能だった。

沈む心を奮い立たせてさらに2年後、待望の第1子が誕生する。

しかし幸せなはずのこの時期に、「この人とはやっていけないと思った決定打でした」と語る出来事が起きた。
本当はすぐにでも別れたかったが、乳飲み子を抱えて1人で生きていくだけの経済力や自信がなかったと言う。子が生まれたときから、さちこさんの”自立して生きていくための準備”が始まった。

自分が理想とする、心も体も癒すサロンを作りたい

決意してから10年間、年々酷くなっていく元夫のモラルハラスメントに耐えながら、着々と準備を進めてきた。
第1子誕生の翌年、奇跡的に授かった2人目の子も含めた母子3人で”自由”になる日を夢見ながら、必死に自身のメンタルヘルスに向き合ってきた。「薬だけに頼っていていいのだろうか」と参加したある心理学の講座で、物事は”自分の受け止め方次第”なのだという気づきに大きく救われた経験から、「同じように辛い状況にいる方々を癒したいと思いました」と語る。

2017年4月に、ついに起業して自宅サロンを開いた。
元夫はいい顔はしなかったが、彼の仕事に影響させないという約束でなんとか実現させた。お客様も順調に増えていき、自分に自信が戻ってきたタイミングで、ついに離婚を切り出せた。

「その後は色々あって、自宅サロンは一旦閉じて家を出てきちゃいました」と笑い飛ばす。
目下の目標は、まず実家を出て家族3人で暮らせるように整えて、自分のサロンを再開することだと言う。

「私の目標は、来年4月開業です。今は、失敗したなと思うことがあったとしても後悔なく生きられているんですよね」

今回のstand.fm コラボトーク収録はこちらからお聴きいただけます。
今後の連載情報は【LINE公式】Amigo a.k.a. あんちゃん よりアップデートいたします。

Amigo a.k.a. あんちゃんの最新情報をチェック!